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第1389回例会

「身体障がい者の心と生活を支える聴導犬・介助犬」

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社会福祉法人日本聴導犬協会 会長
有馬もと 氏
日本聴導犬協会は1996年、長野県宮田村で創設しました。私は英国のケントとエジンバラ大学の2つの大学院を修了したのですが、留学中に日本から依頼された取材で、英国聴導犬協会を訪れました。当時は、「聴導犬」という名称すら知らなかったのですが、雑種犬や捨て犬から聴導犬を育成し、聴覚障がいのある方(ろう者)を補助するという素晴らしい事業に感銘をうけました。

・「人、犬に出会う Man meets Dog」
 盲導犬、聴導犬、介助犬は「身体障害者補助犬(以下:補助犬)」と総称され、世界で初めて補助犬を管理する「身体障害者補助犬法(2002年)」が施行されました。補助対象は、障がいが身体にある方に限られ、「者」なので18歳以下の方への対応はできません。海外には、盲導馬や介助猿もいますが、犬が主要なのは排泄の訓練がしやすく、猿や猫のように縦横無尽には動けない点も管理が容易という利点としてあげられるでしょう。
・リスク・コミニュケーター(災害時の意思伝達役)
 聴導犬を含む「補助犬」は、人と犬の進化した関係と言えるでしょう。聴導犬はろう者に音を報せる「聴導動作」だけでなく、リスク・コミニュケーター(事故や災害時の意思の伝達)役が注目されています。
聴覚障がいは、外見に障がいが現れません。そのため、そばにいらしたとしても周囲は気付かないことも多いのです。さらに、コミニュケーション方法が聴者とは異なり、手話であったり、読唇(唇を読む)や筆談だったりします。意志の伝達方法の相違から、何か困られていても、周囲に伝わりにくく手助けを得られにくい場合もあります。
 東日本大震災では、人口比で、ろう者が聴者の約3倍の方が亡くなられたそうです。要因の一つは、地震は体感できますが津波はサイレンで知らせるため、耳の不自由な方に伝わらなかった。もう一つは、耳の不自由な方がそばにいても周りの方が気付きにくく手助けができにくかった。また、何人かの方は、ご自身の障がいを周囲に知られたくなく、ご近所つきあいが希薄だったという理由も考えられます。
大きな災害だけでなく、渋谷で事故があったときに耳の不自由な方が、近くにいる車掌さんでも周りの乗客でもなく、ツイッターやフェイスブックで今何が起こっているかを調べたそうです。周りが混乱しているときに発声がはっきりしないろう者が助けを求めても、聞かれた聴者は自分のことで精いっぱいで、答える余裕がないかもしれません。聴導犬を同伴していれば、犬好きに限れますが周囲から自主的なお手伝いをしてもらえる可能性が高くなります。
・コミュニケーションを円滑に
聴覚言語障がい者数は約35万人です。その中で、手話のできる方約64000人(平成18年厚生労働省調べ)といわれております。口話のできる耳の不自由な方もいらっしゃいますが、ろう者同士でも、コミュニケーション方法は手話、読唇(唇を読む)、筆記などさまざまで、情報交換が難しい場合もあります。また、ご高齢のろう者の方では難しい漢字や熟語がわからない方も多く、漢字をすべて平仮名で書くと意味が通じにくくなります。このように「聴覚障がい=コミニュケーション障がい」といわれ、聴者との人間関係が築きにくく、孤立しやすい方もいると聞きます。聴導犬は人間関係の仲介役として、犬好きの聴者に限られるかもしれませんが、あいさつ程度から、より良い人間関係創りや会合などに誘われるきっかけになった例が聴導犬ユーザーから報告されています。

 アメリカの民族学者によると、ネアンデルタール人が絶滅し、現代の人間につながるホモ=サピエンスが生き残れたのは、犬と出会ったからではないかとまでいわれています。聴導犬、介助犬は犬と人の新しい形です。犬が犠牲になるのではなく、ユーザーさんも犬もハッピーになるお手伝いを日本聴導犬協会ではさせていただきたく考えております。

プロフィール
●有馬もとPhD 政策研究 略歴
連絡先:厚生労働大臣指定法人(福)日本聴導犬協会:長野県上伊那郡宮田村7030-1
Tel:0265-85-4615 Fax専用:0265-85-5088 www.hearingdog.or.jp E-mail:inf@hearingdog.or.jp
Ⅰ:アワード:
中日新聞社会功労賞受賞(2001年 有馬個人に対して)
NPO法人グランプリ受賞(日本青年会議所創立50周年記念事業01年 活動に対して)
ザ・ワンダフル・サードエイジ団体部門入賞(04年 活動に対して)
日本動物愛護賞審査員特別賞受賞(04年 活動に対して)
内閣府「平成16年度 生活達人」認定(04年 個人に対して)
日本動物愛護賞 審査員特別賞(14年 育成した聴導犬みかんに対して)
Ⅱ:職業および役職:
■資格:
社会福祉施設長資格
ADI(国際アシスタンスドッグ協会)国際認定聴導犬インストラクター
ADI(国際アシスタンスドッグ協会)国際認定介助犬インストラクター
英国聴導犬協会 国際認定聴導犬シニア(インストラクターの訓練と認定ができる)
インストラクター 
非常勤講師:台湾国立 屏東科技大学獣医科学学部元非常勤講師(2013年のみ)/ 愛知医療学院短期大学/ 帝京科学大学アニマルサイエンス部
■職業:補助犬ジャーナリスト。
日本聴導犬協会会長(1996- 厚生労働省関東信越厚生局長所管厚生労働大臣指定法人)会長有馬もと。
日本補助犬研究所 副所長(03- ) 日本聴導犬・介助犬訓練士学院 副学院長(09~)
※非常勤講師:国立身体障害者リハビリテーションセンター学院/2006年~ 帝京科学大学アニマルサイエンス部/ 2012年~ 愛知医療学院短期大学/ 2006年~ 大阪ECO動物海洋専門学校/2008年~ 名古屋コミニュケーションアート専門学校/ 2013年のみ 台湾国立 屏東科技大学獣医科学学部
■歴任:ジャパン聴導犬協会(現:(福)日本聴導犬協会)発起人の一人&会長(1997年- )
英語圏外初のADI(国際アシスタンスドッグ協会)理事に就任(02-05)
聴導犬インストラクター国際認定取得(英国聴導犬協会より授与) (01)。
日本初の ADI(国際アシスタンスドッグ協会)国際認定 聴導犬・介助犬インストラクター(06-)
長野県障害施策協議会委員(05-07)。
長野県障害者自律施策協議会委員(07-08)
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院 「介助犬」訓練士研修会 講師(04)
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院「介助犬」および「聴導犬」訓練士研修会 講師(05-)
兵庫県 総合リハビリテーションセンター 聴導犬認定委員(04- )
兵庫県 身体障害者補助犬審査委員(07- )
厚生労働省「聴導犬」の訓練基準に関する検討委員会委員(02-03)。
厚生労働省「介助犬」および「聴導犬」の訓練基準に関する検討委員会委員(03)。
全日本聴導犬(ヒアリングドッグ)育成協会協議会発起人議長(03-05→ ADJへ移行 )
全日本補助犬パートナーの会&全日本補助犬育成の会発起人議長(03-08→全日本聴導犬ユーザーの会 
全日本聴導犬(ヒアリングドッグ)育成協会協議会 会長(03-05→ADJへ移行)
ADJ(アシスタンスドッグジャパン:日本の10の育成団体が加盟)発起&会長(02- )
Ⅲ:最終学歴:
博士号取得:恩師・井関利明(慶應義塾大学 経済学部元学部長)教授が千葉商科大学大学院政策研究課博士課程の学部長だったことから、千葉商科大学で博士号(政策研究)取得
修士取得:英国国立エジンバラ大学大学院 社会学社会科学
ディプロマ取得:英国国立ケント大学大学院 文学部
Ⅳ:著書(10冊)
「人はなぜ犬や猫を飼うのか」「身体障害者補助犬法を知っていますか?」「アシスタンス・ドッグ」(大月書店)「たくさんのふしぎシリーズ-聴導犬ものがたり ジェミーとペッグ」(福音館)「捨て犬みかんとポチ」(佼成出版)「愛犬ハッピー手帳」(すばる舎)「愛犬のしつけ」(Soft Bankクリエィティブ)「マンガで知る 聴導犬」(明石書店)など。
Ⅴ:補助犬に関する調査研究:
「長野県委託による調査『聴覚障害者239人の聴導犬へのニーズ』」(2000)
「長野県委託調査『捨てられた犬からの聴導犬育成の可能性』」(2000)
「長野県委託調査『障害への理解と補助犬の受入に関する調査』」(2006)
「長野県委託調査『長野県内の観光案内所における補助犬受け入れに関する調査』」(2007)
「三菱財団助成『国際アシスタンス・ドッグ協会による補助犬スタンダード』」(2001)
補助犬ジャーナル「補助犬研究」編集長など。(2003-)
Ⅵ:企画・プロデュース:
Pilot「全国身体障害者ほじょ犬サミット」2015 in松本 総合プロデューサー
松本市補助金 国際補助犬パートナーズ会議 in ユニバーサルシティ松本」総合プロデューサー
NHKハートフォーラム「ニッポンの子どもたちと補助犬パートナーとのほのぼの討論会」
長野県委託事業 第1回、第2回「補助犬ユーザーのための研修会」総合プロデューサー
長野県庁委託事業 「補助犬啓発のための講演会」
学習研究社発行「しつけムック・ウチの子がおりこう犬になる」 監修&企画など
学習研究社発行「しつけムック・ウチの子とお出かけ上手になろう」 監修&企画など
ソフトバンク発行DVD「あなたにもできる愛犬のしつけ&トレーニング」監修&企画など
ボランティア組織 Pro-Dog School&Clubの組織創りと運営(1997年~)
第2回 「国際アシスタンス・ドッグ・パートナーズ会議 in 兵庫」総合プロデユーサー

日 時 2018年6月6日(水)
場 所 ハイアットリージェンシー東京

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電話によるお問い合わせ: 03-3340-3555 Eメールによるお問い合わせ:shintoshin-rc@par.odn.ne.jp

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